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こども未来館「ココニコ」市電シミュレーター復旧プロジェクト2~作業進行編~

~作業進行編~

愛知県 豊橋市こども未来館(以下、愛称:ココニコ)に展示され親しまれてきた《レトロ電車》。前回に引き続き、その運転席に設置された路面電車シミュレータシステム(以後シミュレータ)の復旧への道のりを弊社スタッフの奮闘の様子とともにお届けいたします。

現状把握から、復旧に向けた提案
前回ご相談を受けて、筐体からケーブルごと取り外され、放置されていたPCをオフィスへ持ち帰ったときの様子がこちら…

まずは現状調査からと、シミュレータの核となるPCの調査に取り組みましたが…全く起動しません。ハードに詳しいスタッフの手を借りたりしながら、基盤リセット部品交換など試行錯誤の末…なんとか再起動。

その後、デバッグ用に設けられた運転操作の対応キーをひとつづつ手探りで調査し、ほぼ全ての操作の内容を解明、どうにかPC単体でシミュレータ稼働と機能を確認することができました。しかし、HDD(ハードディスク)の損傷が進んでいることが判明…その後も次々にトラブルが発生。
老朽化したハードウェアはとっくに耐用年数を過ぎ、構成するソフトウェアも既にサポートが終了。安定稼働という面において、大きな課題を抱えていました。

現状のソフトウェア資産を最大限に活かしつつ、新たな稼働環境を構築できないか、当時の設計資料をあたりました。しかし、残されていたのは、設備図面が数枚、実行プログラムのみ入ったディスクが1枚…。残念なことに、ソフトウェアに関する設計資料は全くありません。

こうした状況から、今回の復旧計画では、安定稼働と継続性を考慮して、以下2つのポイントを計画に盛り込むことにしました。

【GOAL設定】

  1. 現行シミュレータの復旧と解析を行い、新たな予備機上にシステムを再構築、稼働率の向上を図る。
  2. 調査解析から得られた成果や再構築手順を、今後のメンテナンスに備え資料として残す。

クラウドファンディングの成立から、復旧開始!
その後、クラウドファンディングが目標額を達成し、プロジェクトの実施が決定したことで、慎重にバックアップしたHDD内のデータは一命をとりとめることができました。

換装しお役御免となったHDD

それを受けて、復旧したPCを現地車両に持ち込み、路面電車からの入力をシミュレータPCに接続調整をしました。
繰り返しココニコに足を運びながら、さまざまな問題(下図中赤字記載)にひとつづつ対処していく、まさに、小さなピースを一つ一つ形に当てはめていくパズルのような作業です。

ココニコ関係者さまと共に問題解決!
運転席のハンドルやレバーからの入力を変換する装置(PLC)につなぐため、大量のケーブルをコネクタで再配線(図中A-②)しなければなりません。
ココニコ施設の電気設備担当者さんと一緒に現場確認し、事前に配線計画をお伝えしたところ、散乱していた配線を系統ごとに束ねて整理して頂いたので、現場での作業はスムーズに進めることができました。

しかし、再接続してみるとシミュレータは起動するものの、肝心のプレイをスタートすることができません。

初動ができないということは、シミュレータ操作系の動作一切が確認できないことを意味します…。
システム全体(図中A→Cの制御フロー)のどこかに問題が潜んでいる可能性があるので、それぞれの操作が正しくPCに届いているのか、改めて確認していきます。

以前は運転台に座ると、すんなりと開始できたのに…いっこうにPCに信号が入ってくる気配がありません。座り方に問題があるのか…はたまた、他の運転操作との組み合わせ問題があるのか頭を捻っていたところ…。
電気設備担当者さんが、運転席の椅子の背もたれを分解、近接センサを取り出して、テスターで導通確認。接触不良による故障であることを突き止めた瞬間でした。

(図中A-③ )

センサー

そして遂に運転スタート!

我々はもちろん、立ち会ったココニコ関係者様ともに全員で大歓声!再びシミュレータが動き始めました。その様子を残した動画です、ぜひご覧ください。

youtu.be

最後に、2022年12月7日、新たなディスプレイが現場に届き、ようやく無事設置が完了したそうです。

復活まで、あともう一歩!いよいよ市電シミュレーターが復旧し、こども未来館「ココニコ」でお披露目される様子をご紹介します!

次回をお楽しみに!

to be continued・・・